毎年NHKが主催する教育コンテンツのコンテスト「日本賞」。
今年も時期がやってきた。
1週間、渋谷のNHK放送センターのあちこちでイベントやらが開かれる。
JAPAN PRIZE International Contest For Educational Media -日本賞-
10月20日、昨年に続いてIPCEM(教育コンテンツ世界制作社会議)のセッションを現場からustreamで配信してきた。
配信したのは「ゲーミフィケーション~教育の21世紀モデル~」。
登壇者はGameDesk CEOのLucien Vattel。
GameDeskはこの界隈では全員知っているゲーム教材クリエイタ−集団。
GameDesk
“RockStar”と紹介されて登壇したLucienは2年前のTEDxでの講演も面白い。
スライドの面白い部分はこのときからあまり変わってないないのだな。
彼らのゲーム・・ではなかった教材は教材然としていない。
見た目がcool。
バイタルセンサ(血圧計かな)を組み合わせて、冷静にならないと先に進めないシナリオゲーム(EQ)、というのがなるほど、と。
教材はdigitalからphysicalに転移をさせることに気を使っている。
デジタルの世界で理解した物を現実の物理現象でテストし、理解を深める。
いっぽうでphysicalにはむずかしいシミュレーションをdigitalの世界で繰り返すことで理解をしていくという教材も。
シミュレーションや可視化によって今までより若い年齢で無理なく理解できるようになると言うのはなるほど、とおもう。
数学を折り紙で可視化して、というのは古来よりやられてきたけれども。
アメリカでの高い転職の頻度をあげ、俊敏性が求められる世界で自発的に考えることができる学生を育てる。
めまぐるしい環境変化に対応し、はじめて出会う問題に対処できる学生をつくる。
そのためには「大脳辺縁系、前頭皮質に働きかける教材」であることが肝であるらしい。
これらをプレポストで長期的かつ継続的な効果を確認ながら教員のトレーニングを通して一緒にカリキュラムもつくっていく。
カリキュラムとコンテンツがお互いにフィードバックしながら作り上げられていくというダイナミクスが彼らの強みののだろう。
同時に不登校の問題も解決しつつある、と。
教材が楽しみで学校に行くようになるって本当にそんなことあるのだろうか、と素朴に疑問には思うけれども。
Lucienは、今がモバイル環境のスタートラインだ、とも。
タブレットやLTEがその第1波。
モバイルにより学校と自宅がはっきり区別されなくなってくる、メディアがパーソナライズ化される、これから10年の大きな教育の変革がおきている、その先に仕事に情熱を持つ人がうまれてくる、という予言には説得力があった。
GameDeskはテクノロジに頼りきらず、既存のゲームに寄りかからず、テクノロジとゲーム性のバランス感覚が際立つ人たち。
実際には「感覚」ではなく、ものすごい緻密な研究がされているのだろうけれど。
マーケティングの世界では”ゲーミフィケーション”はもはやかれたバズワードになっていて、「はいはいポイントね」「バッジね」で小さく退屈にまとまっている。ページビュー増やします、再訪率を上げます、コンテンツを上げさせます、の施策としての”ゲーミフィケーション”は食傷気味。
けれどもユーザの体験を通して(システム上のポイントやバッジでなく)ユーザの成長とエンゲージメントを高めていく、という、上の”ゲーミフィケーション”に失われた本来のゲームの楽しさがGameDeskには見えた。
ポイントやバッジ(リワード)だけでなく、このシステムを上手く使えるようになったら、別の場所でその経験を活用できるとか、後から振り返りになるとか。
日本人は、こういうの得意だと思うんだけどなぁ。
「教育」っていうお題目が重すぎて去勢されてしまうのだろうか。
OLPSやら激安タブレットやら。
教育の名目でパフォーマンスの低いコンピュータを配るのではなく、彼らのようなコンテンツを再生できる程度の力は持っているべきだよなぁ、と思った。
(ターゲットが違うのは承知なのだけれど)
10月はIT系のイベントが多い時期。
週末はDIGITAL CONTENT EXPOに行こう(こっちは単純に見学に)。
DIGITAL CONTENT EXPO